異議申立のメリット・デメリット

1.制度上の相違点
異議申立は、特許を消滅させるという観点では無効審判と同様の制度ですが、以下の点で大きな相違点を有しています。

A.不服申立
・無効審判の審決は、双方が知財高裁に不服申立可能。
・異議申立は、維持決定については、双方とも不服申立不可。取消決定について、特許権者が知財高裁に不服申立可能。

B.不服申立の被告
・無効審判の審決取消訴訟では、無効審判の相手方です。特許庁が被告になることはありません。
・異議申立の決定取消訴訟では、被告は、特許庁です。


2.審判官の心理に与える影響
このような制度上の相違点は、審判官の心理に以下のような影響を与えます。

A.異議申立の場合
「この案件は微妙だなぁ。取消決定したらきっと提訴されてしまうなぁ。そうしたら対応が面倒だなぁ。
もし負けたら恥ずかしいしなぁ。そうだ!維持決定にしてしまう。そうしたら提訴される心配もないし。一件落着。」

B.無効審判の場合

「この案件は微妙だなぁ。無効審決でも有効審決でも、きっと提訴されてしまうなぁ。もし負けたら恥ずかしいしなぁ。
そうだ!裁判所でも維持される内容にしよう!」

審判官が意識的に上記のような判断を行うことはなく、公平な審理をしていると思いますが、潜在意識の中に上記のような気持ちがわずかに生じる可能性は否定できないと思います。そして、微妙な案件では、そのわずかな生じた気持ちが結論に決定的な影響を与えます。

そうすると、異議申立と無効審判請求の内容が同じであっても、結論が異なる可能性は否定できないと思います。
このような観点で考えると、異議申立には以下のメリット・デメリットがあります。

メリット
・匿名で特許を取り消すことができる可能性がある。
・維持決定がなされた場合でも、審判官の詳細な判断が分かるので、異議申立の論旨の弱い箇所が分かり、無効審判請求の際に活用することができる。

デメリット
・維持決定の審判官が、無効審判の審判官の先輩だったりするような人間関係がある場合、先輩の判断を覆すような無効審決を書きにくいという心理が働く可能性があるかも。ただ、弱い論旨の維持決定に従って維持審決を起案して、裁判所で覆されるとその審判官の恥になるので、維持決定の内容が審決に与える影響は強くないと思います。
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渋谷のSK特許業務法人のパートナーの伊藤寛之です。日々の実務の中で分からないことがたくさんあって、特許庁に問い合せたり、調査をしたりして、一つずつ疑問を解決しています。せっかく調べた情報ですので、このブログに蓄積していこうと思います。雑文も多いと思いますが、よろしくお願いします。
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