米国の無効審判・訂正の制度の概略(中用権に注意)

米国は、日本の無効審判に相当する制度も独特だし、訂正審判に相当する制度も独特です。
特許を無効にするには、ものすごい費用が必要になります。
また、特許の範囲を訂正すると、減縮補正であっても中用権が発生する場合があり、やっかい。

1.米国で特許を無効にする手段
(a)査定系再審査:請求人は関与しない。文献に基づく新規性・進歩性欠如の無効のみ。記載不備は対象外。有効性の推定なし
 費用:100~200万円程度。ほとんど関われない。

(b)当事者系レビュー:日本の無効審判に相当。文献に基づく新規性・進歩性欠如の無効のみ。記載不備は対象外。有効性の推定なし
 費用:2000~3000万円程度。ほぼ訴訟。

(c)異議申立:特許付与後9ヶ月以内。全ての無効理由。有効性の推定なし。
 費用:2000~3000万円程度。当事者系レビューとほぼおなじ。

(d)訴訟での無効抗弁:全ての無効理由。有効性の推定あり。
 費用:数千万~。

2.特許を守るための手段
(a)再発行手続→特許の一部が無効であることを宣言した上で再度審査を受ける。
(b)査定系再審査での補正→先行技術を提出して再度審査を受ける。
どちらも請求の減縮が可能。

3.中用権
 再発行又は再審査で請求項が実質的に変更されると中用権(特許法252条)が発生する場合がある。
 中用権が発生すると、それ以前から実施している者に対しては権利行使ができなくなる(日本の訂正とは大きく異なる)。

減縮補正も「実質的変更」に該当して中用権(intervening rights)が発生すると判断されたケースあり。以下の文献を参照。
https://www.ropesgray.com/files/upload/Batchelder_InterveningWrong_Recorder_06.2012.pdf
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渋谷のSK特許業務法人のパートナーの伊藤寛之です。日々の実務の中で分からないことがたくさんあって、特許庁に問い合せたり、調査をしたりして、一つずつ疑問を解決しています。せっかく調べた情報ですので、このブログに蓄積していこうと思います。雑文も多いと思いますが、よろしくお願いします。
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